骨の髄まで私に尽くせ

骨の髄まで私に尽くせ。は長堀かおるさんが描くドロドロした愛憎物語です。
ヒロインである仲村さやかは男運が凶悪なレベルで悪く、出会う男にことごとくひどい目に遭わされています。
主人公である藤田一樹もその一人で、学生時代にさやかをかばおうとして逆にさやかを傷つけてしまっています。

それから12~3年後、ふとしたことから藤田とさやかは再会します。
学生時代に起こった事件のことを気に病んでいた藤田ですが、さやかの方はそんなことはもう気にしていない様子。
それに安心して心を許してしまう藤田ですが、もしここで藤田が毅然として立ち去っていたら、骨の髄まで私に尽くせ。の悲劇は起こらなかったはずです。
藤田が揺れ動いてしまったのは、藤田の家庭環境にありました。
世間一般的には「幸せ」と言えるレベルの家庭を築いていた藤田。
しかし、まだ自分は若いのに何で家のことに追われてばかりなんだろうと疑問を持っています。

その心の隙間を埋めるのにさやかという存在はぴったりだったのです。
さやかの方も、藤田のことを頼れる人と思っているのか、何かと接近してきます。

ところが、藤田が見ている「さやか」と言う存在は表面的なものでしかなかったのです。
さやかは度重なるひどい仕打ちにすっかり荒んでおり、心も病みまくっていたのです。
それを表面的にとはいえ取り繕えるのはさすがと思いますが、それは本来の姿との落差を広げるだけの結果となってしまいます。

そして、藤田が心惹かれ「好きだ」と言ったのは表面的な「さやか」の方です。
藤田はさやかの境遇に同情し、愛を注ぎますが、その対象はあくまで表面的な「さやか」に対してです。
さやかの本質-どんな手段を使っても相手の愛を独占したい-に藤田は気付けませんでした。
あるいは目をそらしていたのか、学生時代の事件の罪悪感からか・・・

どちらにせよ、さやかは藤田に「食われた」あとあたりから本性を現し始めます。
藤田にとっては最悪の展開です。
ですが、さやかにとってはほとんど予定調和。
一体どのあたりから狙っていたのか判りませんが、もしかしたら偶然の再会さえ仕組まれたものではないかと疑ってしまうくらいです。
骨の髄まで私に尽くせ。はさやかの心の闇が少しずつ明らかにされていきますが、それでもまだ語りつくされていない暗い過去がありそうな感じです。
それが、決定的に明らかになるのは骨の髄まで私に尽くせ9話でしょう。

藤田に問い詰められたさやかは過呼吸を起こし、「殴らないで」と懇願してきます。
が、今までの話の中でさやかが殴られたような過去は語られていません。
物語中では、家を飛び出して男の家に転がり込むところまでは描かれていますが、そこから藤田と再会するまでの時間はぽっかりと抜け落ちています。

もしかすると、この空白の数年間は今まで語られてきたものよりより凄惨なものだった可能性がありますね。
もしこの仮定が正しかったとすると、相当ヤバい過去がこの先明らかになるという事でしょうか・・・