月別アーカイブ: 2015年9月

銀のスプーン

父の三回忌の後、母が入院してしまいます。
たった一週間の検査入院だったはずが、再検査のために入院が長引いてしまい、仕方なく、高校三年生の律が母に代わって弟と妹の食事を作ることになります。
同じ学校に通う倉科夕子にたまたまもらったかつおぶしで、弟妹の好みに合わせた「おかかごはん」を振舞うことになります。
二人の笑顔を見るために、律の自炊生活が始まる――

母の入院から始まる物語ですが、重たい雰囲気は一切ありません。
昼ドラの原作になったそうですが、あんまりドロドロしたシーンもなく、アットホームでほんのり恋の予感もある食育コミックというところでしょうか。
イケメン高校生の律が、スーパーのお買い得チラシをチェックする様子はほのぼのとしていて素敵ですね。
少し年の離れた弟と妹がいる人は、共感しやすいんじゃないでしょうか。

夕子はいわゆる腐女子で、律には恋心というか憧れを抱いています。
あんまり話したことがないのに、いきなりかつおぶしを渡す天然なところもあってなかなか存在感のあるキャラクターです。
また、律の同級生で女運に恵まれないスグルもなんかいいやつですよね。
律の弟・調(しらべ)と妹・奏(かなで)に慰められているところが良かったです。
調と奏は、お母さんが入院していて寂しくないのかな・・・
ていうか、二人とももうちょっと律を手伝ってやれよと思わなくもないですね。
料理以外の家事はどうやってるんだろう。心配だわ。

ライトノベル

「1ページでも読み飛ばすと登場人物が3人も死んでいる」と評された人気ライトノベル作家・左々暗龍(ささくらりゅう)。
締切前夜で追い詰められている龍の前に、執筆中の作品の登場人物と同じ名前のミカトという少年が現れた。偶然にも、先ほどミカトが死ぬシーンを執筆したところだった。
ある日、龍の元に気味の悪い写真付きのメールが送られてくる。
特に気に留めなかった龍だったが、やがて奇妙な殺人事件へと巻き込まれていく―・・・

小説に書いた殺人シーンが、まるで予言のようにそのまま現実となっていきます。
かと思いきや、物語はもっと意外で不気味な方向に転がっていきます。
はじめは、龍が書いた「ガゼル」シリーズに出てくるキャラの一人、「イオナ」のコスプレイヤーが殺されたことに始まります。
しかし、小説に書かれた通りに殺されたわけではなく、どちらかといえば稚拙な「見立て殺人」なのです。
何となく不気味な雰囲気が全編に漂っていて、読み応えのアルサスペンスです。

主人公の龍は、自分の作品を好きになってくれた読者を大事に思っています。
暴力表現の多いライトノベル作家にしては、感覚がまともですね。
理不尽に殺された被害者に同情し共感しながら、しかしそんな風に思ってしまう自分を傲慢だとも感じています。
締切直前の龍はかなり気持ち悪かったですが、第一巻読了後の感想としては好感度が高いですね。